石川県獣医師会開業部会
学校飼育対策委員会
委員長 田村 兼人
山口県に続き、大分そして京都と鳥インフルエンザの発生が報道されるなか、学校関係者およびご父兄の皆様には学校飼育動物としてのニワトリ、チャボ等への鳥インフルエンザ感染を大変危惧なさっていることと思います。しかし学校の飼育動物は閉鎖された環境にあり、現時点において学校の鳥が感染する可能性はとても低いといえます。また現在、鳥インフルエンザの感染源として渡り鳥が有力視されておりますが、ウィルスを持った渡り鳥が日本に来る確率、その渡り鳥が学校の鳥と接触する確率、そこから人に感染する確率、これらを掛け合わせると、限りなく低い確率になるかと思います。 現在、石川県獣医師会開業部会において、日本獣医師会の指標を基に現在学校で飼育されている鳥たちについて、以下に示すように「鳥インフルエンザに感染しないような環境作り」を学校に対して提案させていただいております。
1.健康状態観察の徹底。(普段かかりつけの動物病院と相談する)
2.野鳥の飼育小屋への侵入を防ぐ。(野鳥の糞との接触を避ける為、しばらくは屋根のない庭には出さない)
3.衛生管理の徹底。1日1回は必ず掃除して、糞が乾燥して舞い上がらないようにする。糞が舞い上がるとき、ある いは飼育舎の床が土の場合の清掃は、マスク・ゴム手袋・ゴム長靴等の着用が望ましい。
4.飼育舎出入りの時、オスバン、ザルコニウム液(逆性石鹸)や、ピューラックス(塩素系消毒薬、プールで使うもの)、キッチンハイターなどをバットに入れ、靴の裏を消毒する。(この時にはゴム長靴を利用すると良い)
5.飼育舎清掃後、また接触後の手洗い、うがいの徹底。
6.異常な鳥(元気がない、死んでいる鳥)を発見した場合は、鳥類に接触せずに、動物病院や家畜保健衛生所に連絡する。
子どもたちにとって、飼育動物は学校で一緒に生活する「仲間」であり、また子どもたち自身が動物たちの「お父さん、お母さん」として、責任と自覚を持って毎日の世話をしています。私たち大人は、そのような子どもたちの「純粋な心」を大切にしなければいけません。もちろん子どもたちの健康が最重要なのですが、そのために健康な「仲間たち」が遠くへ追いやられたり、処分されることがないように何卒教育関係者、保護者の皆様方にはご理解の程よろしくお願い申し上げます。私たち獣医師は、「子どもたちの体と心の健康」のため、各地域において家畜保健所などとも連携し、できる限りの防疫体制を整えるとともに、学校等へは最大限のサポートをさせていただきますので、どうぞご安心ください。また、不安な点がありましたらいつでもご連絡ください。
【参考サイト】
感染症情報センター「鳥インフルエンザについて、Q&A」…http://idsc.nih.go.jp/others/topics/flu/QA040113.html
動物衛生研究所「高病原性鳥インフルエンザQ&A」……http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poultry/toriinfluqa.html
農林水産省「鳥インフルエンザに関する情報」…………http://www.maff.go.jp/tori/




全国の小学校、幼稚園・保育園、教育委員会等の教育関係者の皆様
全国の小学生、幼稚園・保育園児等の保護者の皆様へ

平成16年2月19日
日本獣医師会学校飼育動物委員会 委員長  唐木 英明
社団法人 日本獣医師会 会 長  五十嵐幸男
 平成16年1月に山口県の養鶏場で鳥インフルエンザが発生しました。海外ではこれが人に感染し、死亡者も出たことから、この問題はマスコミ報道でも大きく取り上げられましたので、ご心配の方が多いと思います。さらに2月には大分県でペットとして飼育されていたチャボにも鳥インフルエンザが見つかったことから、ニワトリ、チャボや小鳥などを飼育している学校、保育園・幼稚園等の先生や保護者の方々から、日本獣医師会などに対して、子どもへの感染を心配する声や相談が寄せられています。 しかし、国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、学校や家庭で飼育しているニワトリや小鳥が危険だということではありません。人間も鳥もインフルエンザの予防は同じです。清潔な状態で飼育し、インフルエンザを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにし、ウイルスがいるかもしれない鳥の排泄物に触れた後には手洗いとうがいをすれば感染の危険はありません。詳しいことは、動物衛生研究所のホームページ(http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poultry/tori_influenza.html)をご覧ください。鳥を飼育している皆様には、飼育中の鳥を野山に放したり、処分するようなことはせずに、冷静に対処していただきますようお願いします。 日本獣医師会は、子どもの豊かな心を育てるために動物とふれあう情操教育が大変に大事だと考え、学校で飼育されている動物の診療をはじめ、動物の健康管理や飼育のお手伝いを行っています。動物飼育は子供たちに計り知れない影響を与えますが、それは子どもたちが動物に愛情を持って、守り、育むという役割を果たすことによってもたらされるものです。動物の「お父さん」、「お母さん」であることを自覚した子供たちにとって、その大事な動物が遠くに行ってしまったり、まして処分されたりすることがどのような大きな悲しみを与えるかを周囲の大人は真剣に考えていただきたいと思います。 子供たちの「からだ」の健康を心配するあまり、「こころ」の健康を軽んじるべきではなく、教育関係者、保護者の皆様方には、ぜひとも「学校における動物飼育」の意義を問い直していただきたいと思います。指導にあたられる教員の方々は、子供たちには衛生的な飼育管理法や、手洗い・うがいの励行を指導するとともに、ご自身で動物の様子を観察していただき、元気がなくなるなどの異常を発見したときには、直ちに近くの獣医師に連絡して診察を受けていただくようお願いします。不明な点がありましたら、地元獣医師会または最寄りの家畜保健衛生所にご相談ください。最後に、日本獣医師会は、様々な生物の命をみつめ、育む職業である獣医師の団体として、今後とも学校飼育動物に対する支援を継続することを申し添えます。